東京五輪2020

セーリング

概要

 帆の表面を流れる風によって揚力を得て水面を進むヨットは、古くから輸送手段などとして利用され、17世紀に英国で初めてのヨットレースが行われたとされる。五輪では第2回の1900年パリ大会から実施されている(第1回の1896アテネ大会は悪天候のため中止)。
セーリング

種別

  • 男子470級
  • 男子フィン級
  • 男子レーザー級
  • 男子49er級
  • 男子RSX級
  • 女子470級
  • 女子49erFX級
  • 女子RSX級
  • 女子レーザーラジアル級
  • 混合ナクラ17級

見どころ

主な見どころ

 風や波、潮の流れなどの気象条件を計算しながら進む。種目によっては最速時速50キロに及ぶスピードの中で艇が競り合う場面は醍醐味の一つ。

 ▽470級

 艇の全長が4メートル70センチであることから、日本では「ヨンナナマル」と呼ばれる。スキッパーがメーンセールとかじを操り、クルーがその他の帆を操るなどして艇の傾きを調整する。

 五輪では1976年モントリオール大会から男女区別なしの種目として採用され、88年ソウル大会からは男女を分けて実施。日本勢は96年アトランタ大会で女子の重由美子、木下アリーシア組が銀メダルに輝き、男子は2004年アテネ大会で関一人、轟賢二郎組が銅メダルを獲得した。

 東京でも日本勢のメダル獲得が期待され、18年世界選手権を制した女子の吉田愛、吉岡美帆組は悲願の金メダルを見据える。

 ▽レーザー級

 全長4メートル23センチの1枚帆ヨットを用いて行う一人乗りの競技で、シンプルな作りで乗用車でも運べる手軽さもあり、ポピュラーな種目でもある。五輪ではアトランタ大会から「スタンダード」と呼ばれる大きな帆を用いた男子の種目として採用されている。

 ▽レーザーラジアル級

 レーザー級と同じ艇体を使うが、帆の大きさは一回り小さい。五輪では2008年北京大会からヨーロッパ級に代わって女子一人乗り種目として採用された。

 ▽49er級

 「スキフ」と呼ばれる摩擦抵抗が少ない細長い艇体と面積が大きい帆を使う2人乗りの競技。最大時速は40キロに達する高速種目で、バランスを保つのが難しいためスキッパー、クルーともにワイヤーで体を支えながら艇外に身を乗り出すことも。パワーも必要で、五輪では2000年シドニー大会から男子種目として採用された。

 ▽49erFX級

 49er級と同じ艇体を使い、帆はそれより小さくしたことでより扱いやすくした競技で、五輪では2016年リオデジャネイロ大会から新たに採用された女子種目。

 ▽RSX級

 RSX級はウインドサーフィンの一種で、五輪では2008年北京大会から採用された1人乗りの競技。女子は男子よりも小さい帆を使う。微風のときには全身で帆を動かして推進力を得るため、体力と持久力が必要。

 ▽ナクラ17級

 男女一人ずつが乗る混合種目で、五輪では2016年リオデジャネイロ大会から採用された。「カタマラン」と呼ばれる艇体二つで構成され、水中翼船のように水面に浮き上がって進むこともあり、時速は50キロに及ぶこともある。

 ▽フィン級

 五輪では1952年ヘルシンキ大会から続いているセーリングで最も古い艇種。重量級の一人乗りの艇で、国際オリンピック委員会の前会長、ジャック・ロゲ氏が選手として出場した種目でもある。

競技方式

▽男子レーザー級、女子レーザーラジアル級、男女470級、男子フィン級は11レースで、第10レースまでの通算成績上位10艇が決勝に当たる最終レースに進出。

男女RSX級、男子49er級、女子49erFX級、混合ナクラ17級は13レースで、第12レースまでの通算成績上位10艇が決勝に当たる最終レースに進む。

▽得点は順位点(各レース1位1点、2位2点...)で、合計点の少ない艇が上位。各レースで失格した艇は、出場艇数に1点を加えた点数となる(出場20艇の場合は21点)。最終レースの得点だけは順位の2倍。合計点は最終レース前までは各艇とも最も成績の悪いレースの点を除く。これに最終レースの点数を加え、最終順位が決まる。

▽最終レースを終えて同点の場合は、最終レースの成績により決める。

▽天候などにより、レース数や日程が変更されることがある。

日本の代表選考

 日本には開催国枠として全10種目に1枠ずつ与えられているが、入賞以上を狙える成績を残せる実力があるかどうかを以下の選考手順を基に割り振る。

・選考手順

▽特別推薦

 2019年種目別世界選手権で最終順位が3位以内に入った日本選手最上位選手、もしくはペア。該当者がいた時点で、その種目の選考は終了。

 同選手権で最も早いのは境港で7月に行われるレーザー級、レーザーラジアル級。次いで8月の江の島で行われる男女470級、9月にトルボレ(イタリア)である男女RSX級、オークランド(ニュージーランド)で11月にある49er級、49erFX級、12月にメルボルン(オーストラリア)であるフィン級となっている。

▽特別推薦の該当者がいなかった場合

①原則として2019年の大会で選考する種目(男子470級、女子470級、49er級、49erFX級、男子RSX級)

 1=種目ごとに定めている2019年の指定大会(プリンセスソフィア杯、種目別欧州選手権、種目別世界選手権、江の島のW杯)で五輪出場国数以内の順位を獲得すること。

 2=その上で以下の数字を使って選考用の得点を算出する。

 (1)各種目の国別の五輪出場枠数(例=男子470級は19、女子470級は21)

 (2)各大会の最終順位

 (3)各大会の国別の最終順位

 最終順位で国別五輪出場枠数の中に入った日本勢の個人、ペアは順位が上にいくほど多くの得点が入る仕組みになっている。

 代表はすべての指定大会の合計点が最上位の選手、ペアが選ばれる。得点が並んだ場合は19年種目別世界選手権の最終順位が上位の方を優先する。

 3=19年の指定大会で五輪出場国数以内の順位に日本勢が誰も入らなかった種目が生じた場合は20年の種目別世界選手権のみが代表選考大会となり、五輪出場国数以内に入った日本勢最上位選手、ペアが代表に内定する。

②原則として2019年から2020年にかけた大会で選考する種目(ナクラ17級、レーザー級、レーザーラジアル級、女子RSX級、フィン級)

 2019、20年の指定大会で①と同様の手順で選考する。19年の種目別世界選手権で五輪出場国数以内の順位が獲得できなかった種目は20年の種目別世界選手権のみを代表選考大会とし、五輪出場国数以内に入った日本勢最上位選手、ペアが代表に内定する。

東京五輪までの主な大会

※大会の延期に伴い,変更の可能性があります。

ラジアル級女子世界選手権(19年7月16~24日、鳥取・境港)

470級世界選手権(19年8月2~9日、神奈川・江の島)

ワールドカップ江の島大会(19年8月25日~9月2日、神奈川・江の島)

RSX級世界選手権(19年9月22日~29日、イタリア)

470級全日本選手権(19年10月)

49er級、FX級、ナクラ17級世界選手権(19年11月29日から12月8日、ニュージーランド)

470級世界選手権(20年3月、スペイン)

ワールドカップ・ファイナル(20年6月、神奈川・江の島)

写真は時事、AFP時事、EPA時事、JOC提供